■■ 大学・大学院 ■■


 写真は、古代ギリシアの時代に、デルフォイのアポロ神殿に掲げられていたという「汝自身を知れ」という名句です。
 ラテン文字でこれを表記すると
 「GNOTHI SEAUTON」
となり、「グノーティ・セァトン」と発音するそうです。

 法政大学では、学問を志す者すべてのモットーとしてこれを大学院棟入口のロビーに掲げています。

◆法政大学法学部政治学科・国際政治学科



 法政大学法学部には 法律学科政治学科国際政治学科 の3学科があり、「自由と進歩」の気風が満ち溢れています。

 私は2002年に政治学科の教授として法政大学に着任しました。国際政治学科は、私が政治学科主任を拝命した2004年度に開設準備が詰められ、翌2005年に政治学科から分離して誕生しました。
 もともと1つの学科であった事情を背景として、学科をまたぐ授業選択の自由度は高く、ゼミナールも両学科から選択できます。教員は個性派揃いですが、教員相互の関係は極めて良好です。その総体でカバーする専門領域は国内の大学において最大級の広範囲に及びます。
 とはいえ、教育プログラムのあり方については、それぞれの学科会議や合同学科会議等において常に検討が進められています。そこではときに激論が交わされることもありますが、近年の大きなテーマとしては、新入生を対象としたいわゆる「導入時教育」のあり方が問題になっています。初等中等教育を終えたばかりの1年生を如何に専門領域の学識に近づけるか、高等教育に課せられるまさに難問で正解は存在しないのかもしれませんが、授業科目の新設や再編、あるいは内容の見直し等によって、そのときどきの最適解を求めるべく努めています。
 また、政治学コロキアムと称する両学科教員間の研究報告会もあり、教員相互の研鑽にも努めています。

◆法政大学大学院政治学研究科・公共政策研究科


 私は、政治学研究科の大学院教授でもあります。
 やや複雑な感もありますが、大学院で私が担当する授業科目は 公共政策研究科連帯社会インスティテュート に所属する学生が合同で受講します。

 私に課せられた指導教授としての職務は、政治学研究科の大学院生だけに修士論文や博士論文の指導を行うことです。しかしそうしたタテマエとは別に、実際には公共政策研究科や連帯社会インスティテュートに属する大学院生の論文も指導し、さまざまな相談にも応じています。
 また、修士号や博士号といった学位授与に係る論文審査についても、その主題に応じて政治学研究科の範囲を超えて担任することがしばしばあります。
 法政大学の大学院は、研究職を目指す有能な人材を育成することはもちろんですが、併せて職業経験を有するいわゆる社会人を歓迎し、その旺盛な研究心に応えるプログラムを用意しています。
 かつて政治学研究科では、夜間型の「政策研究プログラム(Hosei School of Policy Studies、略称HPS)を置き、市町村や都道府県に勤める職員をはじめ、広く公共政策課題に取り組む人々の研究意欲に応えてきました。しかし今日では大学院の再編を経て、その主な役割は公共政策研究科と連帯社会インスティテュートが引き継いでいます。
 幸い地の利は良く、市ヶ谷駅と飯田橋駅の間、どちらから歩いても10分程度のところに位置しています。そして有職者の通学を考慮して平日に開講される多くの課目は18時30分(2018年度からは18時35分)に始まります(私自身の授業は受講生の要望によってさらに遅い時刻に始めることもあります)。土曜日には、しばしば修士論文・博士論文中間報告会や特別講義などが配置されますが、それ以外の平日に毎週2日通学できれば2年間で修士課程に必要な単位を修得することができます。
 社会人入試では学部時代の専攻は問いません。面接試験はありますが、筆記試験はありません。必要なのは知的好奇心と問題意識に裏打ちされた旺盛な研究意欲そして研究計画です。なお、大学の学部を卒業していない方でも、経歴等に応じて受験資格が認められる場合がありますので、大学院事務室へご相談されますと、道が開ける可能性があります。
 法政大学大学院には、アジアを中心とした留学生も数多く集っています。国境や専門性を越えた対話や交流によっても本学の「自由と進歩」の精神を実感できると思います。

◆担当科目


 私の法政大学および同大学院における担当科目の概要を以下に紹介します。

 かつて大学の授業科目は、毎週1回通年開講の講義科目を4単位とすることを基本として、所定の単位を取得することで卒業が認定されることになっていました。  しかし、近年では半年間の開講が基本とされるようになってきました。セメスター制と呼ばれるこの制度は、授業期間を集中させることによって学生の効率的修得を目指すと説明されることが多く、毎週2回半年開講の講義科目で4単位とすることが本来の姿だそうです。しかし、実際には毎週1回通年の授業を半年ずつの2期(法政大学では「春学期」「秋学期」と称します)に分け、それぞれ2単位とする運用が多く行われています。
 セメスター制は、秋に年度の区切りを迎える諸外国の制度にも馴染み、相互の留学機会が増える効果もあるとされていますが、こうした運用実態の結果として秋学期は春学期の続きに始まる科目が多く、そうした効果もあまり望めません。事実上、受講生にとっては試験回数の増加、職員と教員にとっては試験に加えて成績評価の回数も増えることで関係するさまざまな負担増をもたらしました。
 というわけで、担当科目の名称と単位数については、上記の事情に留意してください。

 なお、私は、2008年度から学生センター長を拝命し、3年間の任期を2期務めました。ここに詳しくは記しませんが、その職責は重く、授業よりも優先することが求められました。そこで、2009年度からは学部ゼミナールと大学院の論文指導を除き、講義科目の担当からは外れました。大学院の科目担当に復したのは2012年度からで、学部の講義科目を再開したのは2014年度でした。
 また、2015年度は1年間の国内研究(一般には「国内留学」と呼ばれる制度です)期間が認められましたので、担当授業はすべて代講を頼みました。


------ 学部設置科目 ------

 「地方自治論」→「自治体論」→「自治体論Ⅰ」「自治体論Ⅱ」
 「演習」
 「公共政策フィールドワーク」

 「政治学の基礎概念」
 「法とスポーツ」
 「公共政策インターンシップ」(「Global Internship」)→廃止

 「自治体論Ⅰ」「自治体論Ⅱ」は、2単位科目でそれぞれ春学期と秋学期に同じ曜日同じ時限に開講します。2分割される前は「自治体論」という通年4単位の講義科目でした。
 もともとは「地方自治論」という名称で長く開講されていた科目ですが、ある「こだわり」をもって名称を変更しました。
 幸いなことに、法政大学では、極めて多方面にわたる諸政策について、それぞれの専門家が数多くの講義課目を開設しています。そこで私は「自治体論Ⅰ」と「自治体論Ⅱ」においては、諸政策に通底する制度を重視し、その深い理解を目指すことにしています。

 「演習」は、ゼミナールのことです。毎週連続した2時限を通す通年科目で8単位になります。政治学科では一時期2・3年次の必修科目にしていましたが、現在は2年次からの選択科目です。「ゼミナール」はドイツ語に由来し、英語では「セミナー」、日本では一般に短く「ゼミ」とも呼ばれています。この教授法は、起源を11世紀まで遡ることができる最古の大学として知られるイタリアのボローニァ大学でその創世記から行われていたそうです。大教室で受講する授業はどうしても受け身になり、しばしば聴きっぱなしになりがちですが、小規模の人数で相互に議論を重ねるゼミナールでは、学生間に濃密な関係が生まれ、生涯を通じた友人が得られることも少なくありません。学生生活においてたいへん貴重な機会です。
 私のゼミナールについて詳しくは、 「ゼミナール」 の項をご覧ください。

「公共政策フィールドワーク」は、人口構造の変化に伴い地域社会の著しい変化が全国各地で急速に進んでいる現状に鑑み、今や座学のみによっては、政治学科が担うべき「将来の公共サービスを担う人材の養成」に資することが全く困難な事態に至っているという認識に基づいて、私が主唱して2017年に新設した科目です。隔週土曜日の連続した2時限を通す通年科目で、夏休み期間中に4泊5日で夕張市を訪ねる実習と秋学期に日帰りないし1泊で実施する実習を合わせて6単位の科目です。
 原則として政治学科の1年生を対象としますが、受講生の人数に余裕がある場合はそれ以外の受講も認めます。
 春学期においては、地域政策の基礎となる現代における地域社会の変貌と種々の政策領域における主体形成等について講義をします。そして夏の実習では夕張市役所、同市議会、社会福祉協議会、市民活動団体等を訪問し、聴き取り調査、活動参与調査および現地当事者との意見交換会等を行います。さらに秋学期においては、夏期調査実習の成果を班ごとにとりまとめて口頭発表を行うほか、各自の問題意識による比較調査を企画実施し、最終的にはそれぞれが報告リポートをとりまとめます。
 この科目は、私が主担当ですが、ほかに政治学科の教員や実習現地の協力者および法学部担当事務職員等の協力を得て進めます。また、私のゼミナールに属する学生も補助をします。

 「政治学の基礎概念」「法とスポーツ」は、共にオムニバス形式(リレー形式)の講義科目です。
 「政治学の基礎概念」は、当該年度の学科主任が主担当をすることになっており、私は2016年度に2度目の学科主任を拝命しましたので、主担当を務めました。
 通例では、私が担任する項目は「自治」と「二元代表民主制」で2週に渡って講義します。
 「法とスポーツ」は、法律学科に設置される科目で主担当は鈴木良則教授です。
 法学部ならではの体育科目を開設したいという鈴木教授に賛同し、準備段階から協力をしました。私は「スポーツ振興と行政」という題目で毎年1回だけ講義を担当しています。

 「公共政策インターンシップ」「Global Internship」は、前者が政治学科、後者が国際政治学科に設置された課目ですが、この両者は二枚看板で同一の教室で進められていました。ただし2016年度末をもって「公共政策インターンシップ」は廃止されました。
 近年では多くの大学で学生の「インターンシップ」が奨励されるようになりましたが、正式に大学の履修課目として単位が認定されるものはそう多くはないようで、この科目はさきがけの位置を占めていました。
 この科目では、実習先を学生自身が希望するところと交渉して決めることを基本とするばかりではなく、事前の学習と事後の口頭報告および報告書の作成を義務付けました。自分自身で全てに挑戦した履修者に聞くと、無事に報告書を作成した後には大きな達成感が得られ、後輩にも是非勧めたいと口を揃えていました。
 しかし、学生の「インターンシップ」が就職活動の一部に組み込まれるかたちで広まると、受け入れる側からの募集が数多くなり、学生は努力せずに「インターンシップ」という名称のイベントに参加するようになってしまいました。
 そうした実情に鑑み、政治学科では一時休講の措置をとり検討を加えた結果、廃止を決断するに至りました。


------ 大学院設置科目 ------

 「自治体研究」→「自治体研究2」(「自治体研究」「自治体論」)
 「自治制度研究」
 「行政過程特殊研究」

 「自治体研究2」は、もともとはセメスター制をさらに前後期に2分割するクオーター制(法政大学大学院ではⅠ~Ⅳ期の4期制と呼びます)において、2期を通じて毎週2時限通しの4単位で実施されていました。しかし、私が学生センター長を拝命して授業から離れている間に再編があり、「自治体研究2」としてⅠ期毎週2時限通しの2単位科目になりました。なお、公共政策研究科では「自治体研究」連帯社会インスティテュートでは「自治体論」という看板を掲げていますが、別々にあるわけではなく合同授業です。
 本講では、自治体を公共政策課題の解決装置の1つとしてラジカルに捉え直します。予備知識は求めず、ほぼゼロの状態から自治体を理論的に導出し、現実のあり方を根源的に批判し検証します。
 ほぼ例年受講生には現役の自治体職員が含まれますが、職務を一歩離れて「常識」を疑い、問いかけることから出発します。かつての受講生にこの手法を「ソクラテス・メソッド」と呼んだ者がいました。そうかもしれません。
 有職者の大学院生はとくに時間のやりくりが大変だと思いますので、私はリポートの提出は求めません。導入部の講義を除き、毎回行う相互の議論を大切にしています。

 「自治制度研究」は、Ⅱ期毎週2時限通しの2単位科目として実施しています。同じ名称の科目はかつて他大の教授が担任されていたのですが、そのときは具体的には第2次世界大戦後の制度変遷を原資料に当たって研究するという内容でした。しかし、私が引き継いだときは、その出発点に少々こだわろうと思いました。すなわち、旧制度から現行制度への「連続と断絶」を考究したいと考えたのです。
 そのために明治維新期に始まる旧制度の原典に直接あたる史料解読を始めました。ところが、旧字体の漢字とカタカナおよび現在では使われない合字からなる史料を読み進めることは、経験豊かな社会人学生でもなかなか難しいようで、なかなか先に進みませんでした。
 そこで発想を改めました。私は多忙な社会人大学院生に予習の時間を求めません。明治初期の法律等が読みにくいのは当たり前ということで、一緒に原典を読み進めながら制度とその背景の理解に努めることにしました。さまざまな歴史的エピソードを織り込みながら原典にあたると、高校までの「日本史」やテレビ・映画の時代劇などの一場面と交錯し、思わぬ発見や新たな興味関心が湧いてきます。

 「行政過程特殊研究」は、大学院博士後期課程に設置されている課目です。これは、博士論文の完成を目指す大学院生を個別に指導するものです。

 学部および大学院の開講科目については、講義予定(シラバス)が法政大学のウェブサイトに公開されています。授業は必ずしも予定通りに進むとは限りません、いや正直なところ、予定通り進んだためしはありません。そのことをお含みのうえ、ご参照ください。

 ⇒ シラバスへ